「帽子をかぶるとハゲる」――この恐ろしい噂、誰でも一度は耳にしたことがあると思います。
昔からあるような定説の一つですが、実際に信じて帽子をかぶる時は気にしている、という方も多いのでは。また、ハゲてしまった部分を隠すために帽子をかぶっている、という方には非常に気になるところでもあります。果たしてこの都市伝説は本当なのでしょうか。今回は主だった説から検証していきたいと思います。
帽子とハゲの関係性はどこからきたのか?
まず何故、帽子を被るとハゲるという定説が存在するのでしょうか?
もともと帽子というのは頭皮を守るためにあるものですよね。その帽子が頭皮に悪い影響を及ぼすというのも、何だか矛盾している気がします。
よく考えてみると帽子を被っている人、全てがハゲているわけではないですし、むしろオシャレの一部として楽しんでいるという人の方が、多いぐらいです。何より帽子を被るとハゲるという定説が既に立証されているならば、怖くて帽子を被っている人なんているわけがありません。そこでここからは何故、帽子を被るとハゲるという噂が巷にはびこっているのか、原因とされる主な説を紹介していこうと思います。◆蒸れ説◆
頭皮や髪を守るためにも、日差しが強い夏場に帽子は欠かせないアイテム。しかし長時間帽子をかぶると、風が通らない分、頭に熱がこもってしまい汗をかきやすくなり、「蒸れ」の原因に。この状態で皮脂が分泌されると、雑菌が一気に増えてしまいます。
育毛・発毛に最適な頭皮は、皮脂が適度に保たれ、汗や汚れがキレイに取り除かれていることが必須条件。「帽子をかぶる=ハゲる」ではなく、「帽子を長時間かぶる=頭皮環境のバランスが崩れる」と言った方が良いかもしれません。◆着帽後のケア不足説◆
帽子を被ると、たとえ通気性が良いとされているものでも、通気性が悪くなるため、少なからず頭皮環境は悪くなります。これは体に頭に異物を乗っけているようなものなので、帽子を被っていないときよりも、頭皮環境が悪くなることは、仕方のないことです。セーターや下着だって着心地が悪くなると皮膚が痒くなったり、かぶれてしまうのと同じように皮膚の環境は悪くなりますよね。
そのことに気がつかず帽子を脱いだ後もそのままにしておくというのは、頭皮を不潔にしているのと同じことです。汗をかいていないと感じたからといっても、帽子を被ったのならば、多少なりとも頭皮の環境は悪くなくなっていると考えて方が良いでしょう。しかし帽子を被って家に帰ってきたら直ぐにシャンプーを使っての洗髪や、マッサージなどの対処をしていれば、ケア不足といわれる状況になることはないでしょう。◆血行不良説◆
頭皮には繊細な毛細血管が密集しています。その毛細血管が密集している頭に自分の好きなデザイン・長年愛着のある帽子だからといって、サイズの小さい帽子をかぶると、血行が悪くなり、頭皮の細胞に栄養が行き渡らない…なんてことも。
ただし、無理をしてまで自分の頭を締め付ける帽子を好んでかぶる人はいないと思います。何より血行不良が原因となり栄養が行き渡らなくなるほど締め付けられた帽子を、頭皮に影響があるぐらい長時間、被っていられる訳がありません。そのため、「帽子をかぶる=血行不良」との関係は現実的に考えにくいです。◆摩擦説◆
帽子をかぶる・外すことで頭皮がこすれ、摩擦が生じ、抜け毛に繋がるという物理的な要因だという説も。ですが、こちらも常識的な帽子のかぶり方をしていれば問題はなさそうです。そもそも帽子を被っている時の摩擦程度で、抜け落ちてしまう髪というのは、寝ている間や髪を洗っている間に抜け落ちてしまうでしょう。帽子のせいで抜け毛が酷くなったと感じている人は、既に頭皮環境が悪くなっていたにかもしれません。このことから摩擦説は少し無理がある、こじつけかもしれません。
それでも気になる場合はどうすれば良いのか?
どの説も確証がないことがわかったけど、まだまだ気になって帽子を被るのが怖い……
そんな時はどんな対策をとれば良いの?それはこまめに帽子を脱ぎ被りすることです。
一説によりますが、真夏や暑い地域で帽子を着用して出歩いていると、30分ほどで頭部に不快感を感じるそうです。この不快感こそが頭皮の表面温度が上がり、環境が悪くなっていることを示す証拠なのです。それに気づかず帽子を被りっぱなしにしておいたら、頭皮環境は悪くなる一方です。頭皮環境をその場でよくするには表面温度を下げていくしかありません。帽子を被る際は脱ぎ被りする時間を決めたり、不快感を感じたら脱ぐようにするなどの対策を取っておきましょう。
そんなに気を使わなければならないのなら帽子なんか被らなくても良いのでは?
帽子を被る際は、気をつけるポイントが沢山あることが分かってきましたが、そもそも何故こんな面倒くさいもの被らなければならないか考えてみましょう。帽子を被る目的というのは、ファッションでという人も現在は多いと思いますが、帽子を被る一番の目的は、日除けではないでしょうか?
例えば真夏の炎天下の時に畑作業をしていたとしましょう。その時に帽子を被らず作業をしていたらどうなるでしょうか?きっと熱射病になり、倒れてしまうでしょう。
真夏に畑作業をしている人で帽子を被っていない人を見かけたことがありません。それだけ帽子というのは、日除け効果が高いものなのです。また直射日光を頭部に受けると、頭皮にはよくないことが多いのです。まず頭皮というのは体の中でもデリケートな部分なので、ちょっとした刺激で異常をきたします。特に直射日光のような刺激の強いものは、頭皮には最悪です。
直射日光はいわゆる紫外線です。これを頭皮に直接受けてしまうと、頭皮が炎症(ひどい場合は火傷)を起こし毛根にも影響を及ぼします。これが原因となり薄毛の原因になるという説もあるぐらいです。薄毛が気になるから通気性ばかりを重視して帽子を避けるのも考えものということになります。
置かれた環境を考えて帽子を被るか否か選択する
今までの定説では帽子を被ることが頭皮の環境を悪くすると考えられがちでしたが、逆に帽子を被らなくては頭皮に悪影響を与える環境もあるということが、分かってもらえたと思います。頭皮自体の通気性だけを考えたら当然、帽子を被らない方が頭皮には良いでしょう。
しかしどのような環境下に現在置かれているのかで、一番に重視することが通気性ではないこともあります。直射日光が頭皮に当たる環境下で一番大切なのは、とりあえず直射日光から頭皮を守ること。紫外線が含まれる直射日光を頭皮に受けてしまうと、頭皮の高温化や炎症、毛根に受けたダメージにより薄毛の原因になります。
薄毛にならないためにもこの環境の場合は、通気性よりも、頭皮や毛根を高温や炎症から守るためにも帽子の着用はむしろ必須になり、最大の薄毛対策になります。ということは帽子=頭皮に悪いという考えは間違っているのかもしれません。
有力なのは『蒸れ説』ですが…
これまで紹介した考察から、“帽子をかぶるのが薄毛の原因となる可能性は低い”といえるでしょう。
「血行不良説」、「摩擦説」はとりあえず今回の検証で現実みのないことが、浮き彫りになりました。
むしろこれらの説で異常を感じたのならば、既に頭皮環境が悪くなっていることを示す、目安になるでしょう。
そうなるとやはり有力なのが、「蒸れ説」とその延長線上にある、「着帽後のケア不足説」になってくるのではないでしょうか?
「蒸れ」は単なる頭皮環境を悪くする要因の1つではありますが、帰宅後など直ぐ念入りにシャンプーをして清潔な状態を維持すれば特に問題はありません。逆に着帽後、大丈夫そうだからと放置してしまうと、頭皮の油汚れや皮脂汚れなどの影響を受け、頭皮の環境は悪くなってしまいます。そのことから頭皮の血行をスムーズにするためにも、帽子を外した後はションプーをしながら頭皮マッサージを行うと、頭皮環境を整えることに繋がり、頭がスッキリしますよ。
日差しが強い夏は特に、頭皮に影響を与える紫外線が大敵です。一方、冬の寒い日は血管が縮こまり、血流の働きが滞ってしまいます。帽子をかぶることで、これらの問題を解決できるので、帽子はむしろ薄毛予防に効果がある、といえるでしょう。
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