このページでは、発毛サロンでのAGA対策施術の実情を解説しています。
発毛サロンは医療機関ではありません
テレビCMなどでお馴染みの、リーブ21やバイオテックといった発毛サロン。
正直、私はおすすめできません。
その最大の理由は、医療機関ではないことです。発毛サロンでは、医師の恰好をしたカウンセラーが「〇〇症」と診断したり施術したりしますが、あたかも医療行為を行っているように錯覚させているだけで、発毛に有効な治療を行えるわけではありません。
それでは、どのような施術が行われているのでしょうか?
「身体の状態を良くすれば髪にも良い」という前提で、食事指導やマッサージをしたり、サプリメントをすすめたりするのが一般的です。また、スチーマーや「高周波(低周波)〇〇装置」などを使用することも多いですが、いずれも医学的根拠は一切ありません。アートネイチャーなどは「増毛」という名のもとに人工毛を付けるだけなので、そもそもAGAを治すこととは目的が異なります。
また、いかにも効果がありそうな気にさせているのが「特許技術」です。施術方法などが特殊なものであれば、一定の手続きを踏むことで特許をとることは可能です。いずれの発毛サロンでもこの「特許」をしきりにアピールしていますが、発毛効果とは全く関係ないので注意してください。
発毛サロンではプロペシアを処方できません
日本で唯一認可されているAGA内服薬であるプロペシア(成分名フィナステリド)や、それを使った治療薬も、発毛サロンでは処方することができません。
有効性が確認されているフィナステリドではなく、あくまでサプリメントの延長の育毛剤が使用されているので、脱毛の根本的な原因を抑制する治療アプローチはとれないのです。当然、効果は期待できないと言ってよいでしょう。
もちろん、育毛剤との相性がよく、抜け毛が減るなどある程度の効果が出る場合もたくさんあります。しかしマイクロスコープで確認しながら「髪が太くなってきていますね」「毛が生えてきました」と言われると、大して印象が変わっていなくても「そうなんだ」と納得してしまうことも多いようです。
サロンによっては、効果が出ないと繋がりのある病院を紹介して、一時的にプロペシアを処方してもらうこともあるそうです。こういった施術のために、何十万円、もしくは数百万円もの料金を請求されるのは割に合わないのではないでしょうか?
有名発毛サロンの訴訟事例
発毛サロンの中には、訴訟にまで発展したケースもあります。
2006年、「必ず毛が生える」という勧誘を信じて4年間にわたりサービスを受けた大阪府の男性会社員が、ほとんど効果を感じることができなかったために施術料・慰謝料など約830万円の損害賠償をもとめて、発毛サロンを訴えました。
訴状によれば、チラシを見て発毛サロンに相談した男性は「必ず生える」「発毛には3年は必要」と説明され、発毛促進サービスを契約したそうです。そして約4年間、週1回のペースで高周波の発毛装置などの治療を受けて、施術代約490万円を支払いました。また約190万円分の補助食品も購入したのです。結局効果は出ず、「個人差を見極めずに、効果のない人にサービスを勧めつづけた」として訴訟を起こしました。
この件は2009年、施術代の約9割にあたる430万円を発毛サロンが解決金として支払うことを条件に和解したようです。
限られた予算で確実に効果を上げるなら、効果が確認されている医療機関に相談するのがベストなのは間違いないと思います。